第3 原告「準備書面(3)(平成28年3月3日付)」に対する反論
1 「第1 被告第4準備書面『第1 瑕疵の立証』に対する認否」について
原告は、「各瑕疵を根拠付ける調査資料としては、本件建物の竣工から20年経過した後の調査による」と虚偽を述べているが、ハウス55住宅仕様及び住宅金融公庫融資住宅共通仕様書は建築当時の基準であり、乙31号証及び乙32号証は建築中の写真である。まして、密閉された壁体内部の施工内容や床下基礎の施工内容が建築時から変化することは有り得ない。さらには、建築基準法第20条、建築基準法施行令第41条及び善管注意義務は竣工時に限定されるものではない。
また、原告は調査方法の中立性に疑義があるとも主張しているが、瑕疵一覧表にまとめている内容は誰にでも確認できるように、公的な基準や本件建物建築時及び損害発覚時の写真といった客観的な証拠を根拠としている。住宅検査センター鵜澤寛の調査結果だけに基づいているわけではなく、原告の主張は極めて失当である。
しかも、原告代理人は相変わらず、平成24年8月4日の面談が3日であるという事実誤認を行ない、「施主」の意味さえ理解していない。その上で、調査の申し出を拒まれたと虚偽を述べ続けているが、原告は本件建物の写真と映像によって、平成24年から欠陥原因及び欠陥現象を細部まで把握できる状況にあった。「各現象の存否については不知であると言わざるをえない」という主張は通らない。
他にも原告は、「被告は、住宅瑕疵担保責任保険の施工基準(乙85)や、JASS27の基準(乙88)についての違反を主張しているが、これらはいずれも、本件建物の施工時には制定されていない基準であり」というすり替えを行なっているが、この点において被告は社会通念上求められる技術水準に相違していると述べているだけである。そして原告は、「住宅金融公庫の基準(乙84)については、あくまで公庫融資を受けるための基準に過ぎず」と詭弁を弄しているが、外壁通気工法を採用している本件建物は住宅金融公庫から融資を受けて建築しているのだから、明らかな違反である。
よって、被告第4準備書面にある通り、本件建物の建築工事に瑕疵があることは明白で、原告が瑕疵を認識していた事実も疑いようがない。