第2 違法性の阻却について
本件建物に瑕疵が存在するという真実は疑いを挟む余地さえないが、仮に、本訴及び反訴において、本件建物に瑕疵があると認定されなかったとしても、被告の違法性は阻却される。これまで述べている通り被告は、事実の公共性、目的の公益性、真実であると信じるに足る客観的な根拠を伴って、本件建物には建築時の瑕疵があると主張している。また、住宅検査を専門とする一級建築士・鵜澤寛(1級建築士登録番号142222・住宅性能評価員・住宅適合証明技術者)及び山崎洋二(1級建築士登録番号127495)は、本件建物を調査した上で建築時の瑕疵が損害の原因であると判定し(乙6号証、乙13号証、乙14号証及び乙15号証)、被告はその調査結果を信頼したのである。
しかも、被告は本件ブログに原告及び青木興業の主張を全て掲載しており、掲載されている言論に対する評価は読者に委ねられている。また、原告は損害を立証していない上に本件ブログとの因果関係を立証していない。つまり、設計監理者及び施工者の反論が十分な効果を挙げていると認められ、原告及び青木興業の社会的評価が低下する危険性は本件ブログに存在しないと解するのが相当である。したがって、名誉毀損を根拠とする不法行為は成立しない。