除斥期間と消滅時効の違いは、欠陥住宅被害者にとって極めて大きなものです。なぜならば、除斥期間の経過は裁判所が勝手に認定できますが、消滅時効は当事者が主張しない限り認定されません。消滅時効を援用するのは加害者である相手方なので、相手方に立証責任が生じるはずです。我が家を例とすれば、建物引き渡しから半年以内に、密閉された壁体内部の瑕疵や不法行為に私が気付き、権利を行使できたはずだと青木興業やヤマダ・エスバイエルホームが証拠に基づいて立証しなければなりません。
果たして可能でしょうか。欠陥現象が一切現れていない段階で、素人が瑕疵や不法行為を認識できるわけがありませんね。もし、権利を行使できたはずだと主張するならば、設計図書を細部まで用いて、我が家の施工内容や監理報告書について具体的に解説しなければなりません。ということは、瑕疵と不法行為を認めることになりかねず、消滅時効とは両立できないと考えられます。
つまり、自爆に等しい戦法です。真っ当な建築事業者ならば、そうまでして争う意味を見出さないでしょう。やはり、欠陥住宅問題の大きな要因は司法にあります。除斥期間という間違った解釈がなければ、多くの被害者は泣き寝入りせずに済んだはずです。最高裁は、被害者に泣き寝入りを強要する判例を作ったのです。
こちらもお読みください→「最高裁決定による勝訴確定のお知らせ」という断末魔