残念ながら、欠陥住宅訴訟は最高裁で敗訴が確定しましたが、それでも私は後悔していません。負け惜しみだと受け取られても構いませんが、主張すべき事を主張した、泣き寝入りしなかったという満足感はあります。多くの欠陥住宅被害者は、ただ単に経済的な回復を求めているだけではなく、何ら落ち度のない被害者が引き下がる行為自体が、人として間違っていると感じているのではないでしょうか。
私は敗訴しましたが、これまでに数多くの先人達が欠陥住宅訴訟で困難な勝利を勝ち取っています。安全性に欠ける建物では設計監理者と施工者の不法行為が認定され、将来の危険性を予見できる場合でも不法行為であると認定されました。建物を売却した場合でも損害賠償できると認定され、建築士の名義貸しは不法行為であると認定されました。そして、構造体が回復不可能な損害を受けた場合には、建て替え費用相当額の賠償が認定され、最低限の基準ではなく、主観的瑕疵も認定されています。最も画期的な判決は、居住利益の損益相殺を禁止したことでしょうか。
仮に、除斥期間が成立しなければ、我が家の訴訟においては上記の判例が影響しただろうと思われます。つまり、被害者にとって残された数少ない課題の一つが「除斥期間」だったのです。だから、敢えて最高裁まで挑みました。私は素人戦法だったために一審で失敗してしまいましたが、最初から十分な立証を行なっていれば結果は異なったのかもしれません。不幸にして私と同じような立場になったならば、どうか諦めずに自分の権利を主張してください。民法が改正されて除斥期間という解釈がなくなっても、裁判所は「お前は知っていたはずだ!」などという暴論を下すかもしれないのですから。