3 名誉毀損目的という反訴被告の言い掛かり
反訴被告は、準備書面(1)・第2-1-(2)-ア(5ページ)で、「住宅建築を依頼する場合の注意点や企業の社会的責任を論評する内容の範疇を超えるものであり、公共性に何ら関係のない内容となっている」などと反論し、挙げ句の果てには、反訴原告の仮定に基づいた意見までけなしている。しかし、そこで例示している内容は全て事実であり、住宅建築の注意点や企業の社会的責任に対する論評、欠陥住宅被害者の二次被害といった公共性のある情報そのものである。
また、第2-2-(2)(6ページ)では、「本件建物の現状の損傷状態を殊更に強調する」などとも中傷しているが、強調する必要がないほどに酷い損害であり、その原因は反訴被告自身にあるのだから、こうした主張は責任転嫁としか言いようがない。しかも、第3(9ページ)では、「かかる経緯に鑑みれば、被告が本件ブログ・本件動画を投稿している真の理由は、公共の利害に関する事実を告知し、公益目的を図るため等ではなく、原告に対する嫌がらせ、信用毀損を繰り返すことで、原告の譲歩を引き出し、高額の解決金を得ることが目的であったものである」と、何ら根拠もなく反訴原告の名誉を毀損している。
そもそも、反訴原告は平成24年8月4日の面談で、自分と同じように損害に気付いていないHouse55住宅の住民を想定して、反訴被告に全棟検査と再発防止を促している。事例に基づく注意喚起や点検があれば、反訴原告は本件建物引き渡し後20年が経過する前に構造壁の崩壊に気付き、除斥期間を争う余地もなく損害賠償を請求できたのだ。第2事件では、反訴被告に対して点検命令を出すように裁判所に求めている。あるいは、本件ブログのような情報があれば、反訴原告は、極めて悪質な住宅建築事業者に発注することもなく、欠陥住宅被害に遭わずに済み、脅迫や恫喝訴訟の二次被害にも遭わずに済んだのだ。
本件建物に関して反訴原告が経験している全ての出来事は、欠陥住宅被害に遭うかもしれない国民の知る権利に応える情報である。本件ブログが名誉毀損にあたるならば、全ての報道は名誉毀損に該当することになる。本件ブログを映像で例えるならば、欠陥住宅被害者が本人訴訟で闘っている現在進行形のドキュメンタリーだ。本件建物の瑕疵及び不法行為を隠蔽した反訴被告は、公共性、公益性を否定し、名誉毀損目的だと詭弁を弄して、さらに事実を隠蔽しようとして言い掛かりを付けている。