2 本件建物の現地調査に関する反訴被告の虚偽
反訴被告は、本件建物の現地調査を反訴原告に拒否されたと繰り返し主張している。準備書面(1)・第3(8ページ)では、「平成24年8月7日、目視の調査のみであれば許諾するという不合理な回答をし、実質的に原告の申し出を拒んだ」と主張しているが、破綻した論理と度重なる虚偽には呆れる他ない。
反訴原告が自分の所有物について、「この家を破壊して調査しても構わない」と答えたならば、それが合理的だという主張である。買い取りや損害賠償を約束すらしていない相手に、大切な不動産を壊させる愚か者がどこにいるのか。反訴被告の態度は、殺人犯が「自分に死体を解剖させなければ殺人を認めない」と言っているようなものである。
反訴原告は、8月4日の面談で反訴被告の現地調査を断っておらず、検討して後日回答すると答えている。その上で、8月7日12時41分に「調査を承認しますが、壁を壊すようなことは認めません。手を触れないでください」と●●●●に電話をかけて伝えている。本件建物室内の石膏ボードを剥がしたのは修理にあたった建築会社であり、株式会社住宅検査センターの鵜澤寛が調査した状況と同一である。また、同時に「この家を売買のために管理している不動産会社の担当者に、調査に伴う鍵の受け渡しを連絡するので、日程を決めて欲しい」とも要請している。その後、●●●●は同日16時03分に電話をかけてきて、「サイディング(外壁材)を剥がせないのであれば調査する必要はないので、調査は行ないません」と自ら断り、同時に解決金額の提示を反訴原告に要求した(乙8号証2-14/2-15/4-1)。
この時点で、反訴原告は●●●●に解決金額の提示を要求されたが、まだ何も決まっていない段階である。そのため、本件建物を内部からなんとか修理しようと試みていた。しかし、8月9日に□□□□から外壁材を剥がさないと修理できないという連絡があり(乙74号証/6ページ)、見積をとって大修理を決定したのは、青木興業から通知書(乙7号証)が届いた8月18日以降である。その後、反訴原告は、サイディングを剥がした8月30日(乙25号証)から9月1日(乙26号証)にかけて南北面の損害の全貌を把握できた。何一つ不合理な点は存在しない。
8月4日の面談で、●●●●が乙3号証、乙6号証、乙23号証、乙24号証、乙31号証、乙32号証及び甲3号証(平成24年7月15日撮影分)を受け取り、青木興業の建築部長・○○○○が本件建物と同様の損傷が過去に3件発生していたと認め、●●●●が本件建物と同様の損傷が他にもあるのではないかという反訴原告の問いに答えられなかった事実は、反訴被告が反訴答弁書・第2-1-(2)-ア(2ページ)でも認めている通りである。
つまり、●●●●は、調査するまでもなく本件建物にどのような瑕疵と不法行為があるのか理解していた。だから、サイディングを剥がして確認できなければ調査の必要がないと判断できたのだ。本訴の提起が不法行為に該当する事実を隠すために、反訴被告は虚偽を主張しているのである。