しかし、ヤマダ・エスバイエルホームが我が家の施工を監理しなかった事実は、建築士法に違反しているだけではなく債務不履行にも該当するはずです。施工者である青木興業の義務は建物の引き渡しによって一応は履行されていますが、設計監理者のヤマダ・エスバイエルホームは監理を履行していません。債務不履行責任よりも不法行為責任の方が重いので、私はわざわざ債務不履行を主張しなかったのですが、その落とし穴に嵌ってしまった気がしています。
「除斥期間」は、不法行為による損害賠償請求権を定めた民法724条後段を誤って解釈した平成元年の最高裁判例に基づいて裁定されています。その後、いくつもの判例で除斥期間の起算点は不法行為時とは限らないとしたものの、大半の訴訟では不法行為時が起算点とされています。つまり、命に関わるような余程の事情が無い限り、裁判所は起算点を動かしません。
我が家の欠陥住宅訴訟でも、裁判所は除斥期間を楯にして最初から20年で門前払いにしました。建物を引き渡された時点で、密閉された壁体内部の瑕疵と不法行為に気付きようがないという当然の事実を認める気がないのです。どうやら、裁判所にわからせるためには、もう一軒同じ家を新築して立証する以外になさそうです。