軽井沢スキーバス事故から半年以上が経過しましたが、依然として事故の原因は判明していません。私は「軽井沢スキーバス事故は本当に運転手の操作ミスか?」(http://blogs.yahoo.co.jp/goinkyo_suzuki/63686468.html)「軽井沢スキーバス事故は三菱ふそうのエアロクィーン」(http://blogs.yahoo.co.jp/goinkyo_suzuki/63686469.html)と題して、車両に問題がなかったのか疑問を提示しましたが、「エアドライヤーの故障」が原因ではないかという専門家の見解がありました。
「軽井沢スキーバス事故から一ヶ月。警察は『速度の出し過ぎ』だというが・・・・」(国沢光宏)
また、ヤフー知恵袋には、pondadreamさんのさらに詳しい解説が載っていました。
(引用ここから)
はじめまして。私はバスの整備をしている者です。事故車は三菱のエアロクイーンと言う車両でブレーキはフルエアブレーキとの事らしいです。大型車には主に二つのタイプのブレーキがあり圧縮空気と油圧を使うタイプと圧縮空気のみを使うフルエアブレーキがあります。圧縮空気はエンジンの力てエアコンプレッサーで空気を圧縮してエアドライヤー(圧縮空気中の水分を除去する装置)を介しエアタンクへ送られ一定の圧まで溜められます。
エアタンクの高圧の空気が配管を通り運転席のブレーキペダルの下にあるブレーキバルブへ流れます。ペダルを踏むと前後2系統のブレーキ配管へ流れ各車輪のブレーキチャンバへ流れブレーキシューをドラムへ押し付け制動力が発生します。ABSが義務化された年代の車両であればそのモジュールを介します。エアタンクにはエアドライヤーが正常でもある程度の水が溜まります。
私の推測ではこの水をエアタンクから抜くのを怠りブレーキバルブが氷結してエアが一気に抜けた可能性があると思っています。あるいは配管中の水が氷りエアが流れなくなってしまった可能性も。逆にブレーキの引きずりを起こす事もあります。
さらに先に書いたエアドライヤーはエアタンクの圧力が一定の圧に達すると自動で排出するパージバルブがあります。このバルブに異物が噛み込みエアが大量に排出されてエアタンクに空気が溜まらなくなる事があります。峠道を登り下りになってブレーキを踏んだ時に既にエアタンクの圧力が低い状態だった可能性もあります。
エアタンクの圧縮空気はブレーキの他にもクラッチの断続の補助装置でクラッチブースター、トランスミッションの変速装置、エアサスペンション、スイング扉の開閉、排気ブレーキの吸気側と排気側のシャッターのシリンダー等。エアタンクの圧縮空気が極端に下がると何もできなくなります。
エアタンクの圧縮空気が低くなるとメーターに警告ランプが点灯して警告音が鳴るはずなので運転士は気がつくはずです。その警告ランプの球が切れていれば気がつくのが遅くなります。警告音もたまに鳴らなくなる事もあります。当然このあたりも調査していると思われます。
ブレーキには異常がなかったと発表されていますが、事故が起きた時に水が凍ったとしても分解した時には水分が蒸発していれば異常が分からないかもしれません。いずれにしても我々には真相はわかりません。発表を待ちましょう。
(引用ここまで)
さて、私が「NHKスペシャル『そしてバスは暴走した』を猛烈に批判する」(http://blogs.yahoo.co.jp/goinkyo_suzuki/63687080.html)で取り上げたように、NHKはバスの運転手が原因であると断定したに等しい放送を行いました。上記のような故障の可能性には一切言及していません。また、フルエアブレーキという構造には、同種の事故を招くリスクが伴っているという点で、設計に瑕疵がある可能性があるのに、そうした見地の検証はありませんでした。十分な予算を確保できるNHKスペシャル制作者が、事故後3カ月以上も経過していながら、こうした指摘を知らないはずはありません。なぜ、無視したのでしょうか。亡くなられた運転手が汚名を着せられないよう、真実を解明して欲しいと願うばかりです。
(写真は産経フォトより引用)