2 不法行為と損害の因果関係
本件建物には反訴被告と青木興業の不法行為が数多く存在し、それらの不法行為がなければ本件建物の損害は発生しなかったはずである。反訴原告は、第1準備書面及び反訴状で証拠を用いて立証しているが、瑕疵と不法行為と損害の因果関係は、誰の目にも明らかである。建築士法により、青木興業の瑕疵を修理させる義務を反訴被告は負っていたのであり、監理義務を怠らなければ損害は発生しなかったのだ。
しかも、反訴被告は、建築士法(第18条3項及び第20条3項)に違反しただけではなく、共同不法行為(民法第719条)と債務不履行(民法第415条)に加えて、善管注意義務にも違反している。反訴被告は、準備書面(1)・第1-6(3ページ)で、「建築士法20条3項は行政法上の取締法規に過ぎない上、工事監理報告書を提出しないことで直ちに建築確認申請の際の設計と全く異なる建物が建築されることになるとは限らない」とまで開き直っているのだから、本件建物が欠陥住宅となり、倒壊しかねないほどの損害を被ったのは必然である。監理義務が履行されていれば、本件建物に損害は発生しなかったし、そのために建築士法が存在するのである。反訴被告には法令を遵守する意志が皆無であり、その態様はこうした不法行為が欠陥住宅の原因であると強固に立証している。このような企業が現在も住宅建築を行なっているのだから、空恐ろしいとしか言いようがない。
さて、本訴は名誉毀損を根拠とした損害賠償等の請求であり、反訴は不法行為となる提訴を根拠とした損害賠償請求である。反訴被告は、準備書面(1)・第1-7(4ページ)で、「損害の発生及びその額についての立証は一切なされていない」と意味不明な主張を行なっているが、本訴及び反訴において、本件建物の損害額を立証する必要は皆無である。本件建物の瑕疵及び不法行為で被った反訴原告の損害額は第2事件で請求している通り(乙17号証)だが、反訴原告が引用した判例の趣旨とは全く関係がない。反訴被告の極めて失当な主張は、本訴及び反訴を混乱させる目的の遅延行為に該当する。