第4 原告「準備書面(4)(平成28年3月00日付)」に対する反論
1 「第1 本件ブログ記事が一体の表現として原告の名誉を著しく毀損すること」について
原告が引用した判例は、「一般読者の普通の注意と読み方を基準として解釈した意味内容に従う場合、その記事が事実に反し名誉を毀損するものと認められる以上、これをもつて名誉毀損の記事と目すべきことは当然である」である。
判例は、新聞を隅から隅まで詳細に読まなければわからないような表現では、真実の摘示に当たらないと判示しているにすぎない。名誉を毀損していると主張する要件として、不法行為を構成する文言や表現を摘示しなくても構わないという判例ではない。具体的な事実に基づかない訴訟など有り得ないのであり、名誉毀損を根拠とする不法行為に基づく損害賠償請求権は、以下の①から⑤の事実がある場合に発生する。しかし、原告はいずれも主張・立証していない。
① 社会的評価を低下させる事実の流布
② ①による社会的評価の低下
③ 故意または過失
④ 損害の発生及び損害額
⑤ ③と④との因果関係
そして、原告が不法行為を構成する文言や表現を摘示できないということは、一般読者が「普通の注意と読み方」で、「当該記載の記事全体における位置付けや表現方法ないし態様、前後の文脈等を総合して判断する」場合には、真実を正しく理解して、住宅建築や購入の参考としたり、民事訴訟の参考としたりするということである。まして、原告及び青木興業の主張は全て掲載されており、債務不存在確認請求事件(平成24年(ワ)第30256号)と損害賠償等請求事件(平成25年(ワ)第11361号)の準備書面及び判決文も掲載されているのだから、被告は原告の名誉を毀損できない。つまり、どこにも不法行為はないのである。
仮に、不法行為があるとしても、憲法第21条は表現の自由を保障しているのであり、被告第4準備書面「第2 違法性の阻却について」で述べたように、被告の違法性は阻却される。原告の「全ての記事について、削除を求める」、「不法行為の個数としては、1個である」という主張は、自分が気に入らない言論をただただ潰して葬り去りたいという、身勝手極まりない、不法行為に相当する提訴の動機を具現化している。
なお、原告代理人は、請負と売買の違いを理解しておらず、施工者と設計・監理者の義務さえ理解していないようである。被告は、原告が欠陥住宅を施工しているとも、被告が買主であるとも一切記述していない。