1年ほど前の最高裁判決で興味深い事実を知りました。小6男児が蹴ったボールが校庭から飛び出して、バイク(普通自動二輪車/排気量50cc超400cc以下)に乗っていた85歳の男性が死亡した事故で、最高裁は二審判決を破棄して「親の賠償責任を認めない」と判決しました。その判決文には「上告代理人森本宏,同大石武宏,同小島崇宏」とありますので、北浜法律事務所・外国法共同事業が逆転敗訴した模様です。
「子供が蹴ったボール避けて事故、『親は賠償責任を負わない』 最高裁の判断理由は?」(ハフィントンポスト)
「サッカーボール訴訟 85歳被害者は病床で男児を元気づけていた」(NEWSポストセブン)
そもそも、一審(田中敦裁判長)二審(岩田好二裁判長)は誰が見てもおかしな判決でした。サッカーボールは飛び出しただけで当たっていません。バイクに乗っていた85歳の老人が単独で転倒しています。転倒によって骨折し、事故から1年5カ月後の入院中に誤嚥性肺炎で死亡しました。この死亡はサッカーボールに原因があるとして、遺族が少年の両親に法外と思える5000万円を請求したのです。そして、一審では約1500万円、二審では約1180万円の損害賠償を命じました。
私は20代半ばから大型バイクに乗り続けていますが、たとえミニバイク(排気量50cc以下)だとしても70歳を過ぎて乗ろうとは思っていません。身体能力が劣っている80代半ばでバイクに乗っていたならば、その時点で老人に非があります。しかも、ボールが飛び出しただけで転倒したならば、技量が足りていないことは明白です。おまけに、老人は少年に「男の子は元気なくらいがちょうどいい。こんなんでくじけちゃいかん」と励ましていたのです。はたして、この事案はどのような経過を辿り、代理人は遺族にどのように説明して提訴に至ったのでしょうか。