民法第724条は「不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から二十年を経過したときも、同様とする」です。
では、ここで小学校の国語の問題です。「同様とする」が指す言葉はどの部分でしょうか。生徒Aは「時効によって消滅する」と答え、生徒Bは「どこにも書いてないけど、理由を問わず請求権を失う」と答えました。教室のみんなに教師Xは教えます。「B君が正解です」。生徒Cは「それって、おかしくないですか?同様と書いてありますよ」と詰め寄りますが、教師Xは「いいんです!私が決めたんだから!」と断言しました。これが最高裁平成元年判決です。
この教師Xの発言は、その後、職員会議で問題となりました。教師Yや教師Zは、自分が担当する生徒に対して、教師Xの発言を擁護しながらも、「理由を問わないわけではない」という授業を自分が担当する生徒に行いました。教師Yは「損害を知らなかったら、請求できないよね」と言い、教師Zは「悪い奴らが故意に隠していたら、請求できないよね」と理由を教えています。
でも、教師XYZとともに間違っています。生徒Aの答えが正しいと誰もが考えるはずです。教師Xの答えが間違っているならば、教師Xの発言を擁護してはいけません。100%誤りであるとして正さなければ、生徒は混乱してしまいます。法律は言語によって成立しているのであり、その言語を裁判官が恣意的に解釈したら、法律として成立しなくなります。最高裁の判事は、自分が立法府の長にでもなったつもりでしょうか。これでは最高裁こそが法的不安定の源です。