豊洲市場の土壌汚染対策で盛り土が一部実施されていなかった施工は、各々の共同企業体が綿密に協議して決めているはずです。これほど規模が大きい事業でこっそりできるわけがありませんので、東京都の担当者も承認していたと判断できます。仮に、地盤を整備している途中で設計を変更する必要が生じたならば、その段階で図面を引き直し、見積の積算を修正して都議会に諮れば問題にはならなかったと思います。おそらく、当初の見積の方が費用が高く、儲かったということでしょう。
本来は、契約に変更が加えられる事態であり、再契約しなければならなかった状況です。にもかかわらず、内輪で勝手に物事を進めてしまい、誰もがいつものこととして済ませていたのではないでしょうか。住宅建築でも、施主に確認をとらずに勝手に施工を変更する業界です。トラブルになれば施工途中で仕事を放り出し、さらには未完了の契約に対して、訴訟を起こして支払いを請求する業界です。
麻痺しきっているとしか言いようがない。東京都は、各企業を詐欺罪で刑事告訴するとともに、民事訴訟の債務不履行で損害賠償を請求すべきです。小池百合子知事は安全性を問題にしているようですが、安全ならばそれでいいという状況ではないはずです。既に移転の延期を決定していますが、場合によっては再建築が必要となり、移転そのものが白紙になる可能性もないとは言えないでしょう。築地市場の関係者は東京都に損害賠償請求を行なうはずで、東京都が被る諸々の被害額は巨額に膨らみます。
共同企業体は、東京都の担当者から承認を得ているから、自分達の責任ではないと言い逃れをするに違いありません。一流とされる弁護士に依頼して、ありもしない虚偽を並べるかもしれません。それが彼らの常套手段です。しかし、局長クラスであろうとも、担当者は東京都を代表しているわけではありません。それが一般的な法律の解釈です。契約通りの施工を行なっていないならば、それは明確に債務不履行です。
東京都中央卸売市場「豊洲新市場 土壌汚染対策工事の概要」より
東京都中央卸売市場「豊洲新市場予定地の汚染物質処理に関する実験について」より