軽井沢スキーバス事故について調べていたら、さらに新たな事実が判明しました。私は「軽井沢スキーバス事故の原因はエアドライヤーかエアタンクの故障?」という記事で疑問をまとめたつもりでしたが、空気を取り込む「エアコンプレッサ」に故障が生じて、圧力を確保できなかったり、エア通路に冷却水が浸入したりすると三菱ふそうトラック・バスが発表していました。
今回の事故車両は2002年製造ですので下記の対象には含まれていませんが、リコール隠しを原因とする2件の死亡事故と同年の製造です。新しい車両に不具合があるならば、過去の車両も疑わしいと言えないでしょうか。また、2010~12年製造の「エアロクィーン」はサービスキャンペーンの対象になりながら、リコールの対象外でした。なぜでしょう。普通に考えれば、「エアロエース」「エアロスター」「エアロミディ」と同種の基本設計ではないかと受け取れますが、全く異なる設計なのでしょうか。
2012年4月26日
「ふそうスーパーグレート、エアロエース、エアロクィーンの原動機(エアコンプレッサ)に関するサービスキャンペーンについて」(三菱ふそうトラック・バス)
2013年6月11日
「ふそうファイター、エアロエース、エアロスター、エアロミディの原動機(エアコンプレッサ)のリコールについて」(三菱ふそうトラック・バス)
http://www.mitsubishi-fuso.com/jp/news/recall/130611/3166.html ※ヘッドボルトの締付トルク不足
2015年4月9日
「ふそうファイター、エアロエース、エアロスター、エアロミディの原動機(エアコンプレッサ)のリコールについて」(三菱ふそうトラック・バス)
「【リコール】三菱ふそう ファイター など2万台、エアコンプレッサに不具合」(Response)
国土交通省はエアコンプレッサの不具合でブレーキが利かなくなる恐れがあると、何年も前から知っていました。三菱ふそうトラック・バスは、エアコンプレッサを原因とする事故は起きていないと発表していますが、それは日本の警察が「スピードの出し過ぎ」で処理しているからかもしれません。こうした危険性を憂慮したのか、日野自動車は5月に以下のリリースを出していました。
「エアドライヤーおよびエア系装置の定期点検整備のお願い」(日野自動車)
国土交通省「自動車のリコール制度について」には、「リコールとは、同一の型式で一定範囲の自動車等又はタイヤ、チャイルドシートについて、道路運送車両の保安基準に適合していない又は適合しなくなるおそれがある状態で、その原因が設計又は製作過程にあると認められるときに、自動車メーカー等が、保安基準に適合させるために必要な改善措置を行うことをいいます。サービスキャンペーンとは、リコール届出や改善対策届出に該当しないような不具合で、商品性・品質の改善措置を行うことをいいます」とあります。
どうにも腑に落ちません。リコール隠しがなかったとしても、エアコンプレッサの整備不良によってブレーキが利かなかった可能性は残ります。しかも、この事故でニュートラルだったと検証されたフィンガーシフトも圧縮空気を利用しており、シフトダウンできなかった原因になり得ます。ビデオや再現を含めて、運転手に原因を求める根拠はどこにもありません。リコールを隠し、燃費不正を行った企業で行なわれた検証は、再検証されるべきです。